オトナのVPD一覧

オトナと子どもでは、同じVPDでも症状や接種スケジュールが異なります。オトナのVPDとワクチンについて解説します。

髄膜炎菌感染症

どんな病気? オトナがかかるとどうなる?

髄膜炎菌感染症は、患者や保菌者から飛沫感染により髄膜炎菌が体内に入り、菌血症や敗血症、細菌性髄膜炎などを引き起こします。特徴的なのは、病状の急激な進行です。日本での死亡率は15%と高く、劇症型では50%に達すると報告されています。聴力障害、知能障害、麻痺、てんかんなどの神経学的後遺症を残すことも多く、壊死などのために四肢の切断が必要なこともあります。

髄膜炎菌ワクチン 1回

学生寮や運動部の寮生活の人は、ワクチンで予防

髄膜炎菌感染症にかかりやすい年代は、乳幼児と10代後半と高齢者です。学校やクラブ活動での流行もあり、特に学生寮や運動部などの集団生活で感染のリスクが高まることが知られています。ぜひ、ワクチンで予防することをお勧めします。
2011年には宮崎県の高校野球部寮内で集団感染があり、1人が亡くなりました。最近では、2017年に神奈川県の学生寮で1名が髄膜炎菌感染症で亡くなりました。同じ寮内の42名(学生27人、職員15人)中10人(学生9人、職員1人)が髄膜炎菌を保菌していました。

欧米では、日本よりも多くの髄膜炎菌感染症の報告があります

大規模な国際イベントなどが開催されると、海外からの旅行者によって髄膜炎菌感染症が持ち込まれるリスクが高まりますので、注意が必要です。
2015年には山口県で開催の世界スカウトジャンボリーにスコットランドなどから参加したスカウト数名が帰国途中に髄膜炎菌性髄膜炎を発症しました。

海外留学や海外渡航では接種証明が必要なケースも

海外留学で入寮する場合、特に米国の学校では入学に際して接種証明を求められることが多いのであらかじめ確認が必要です。米国では、感染リスクが高い10代後半から20代の感染予防目的で、11~12歳で1回目、16歳で追加接種が推奨されています。

髄膜炎ベルトに行く人は必ずトラベルクリニックへ

アフリカや中東、特に「髄膜炎ベルト」と呼ばれるサハラ砂漠以南、セネガルからエチオピアにかけての地域に含まれる国々に渡航する時は必ず接種を受けてください。これらの地域への渡航の予定がある場合には、ほかの感染症への対策も含め、トラベルクリニックの医師と時間的な余裕をもって早めに相談することをおすすめします。