オトナと子どもでは、同じVPDでも症状や接種スケジュールが異なります。オトナのVPDとワクチンについて解説します。
水痘(みずぼうそう)は、水痘帯状疱疹ウイルスによっておこる感染力がたいへん強いVPDです。麻しん(はしか)と同様に空気感染するため、患者さんと明らかに接触していなくてもかかります。軽い病気と考えられがちな水痘ですが、脳炎や肺炎、皮膚の重い細菌感染症など命にかかわる多くの合併症が知られています。
水痘ワクチン 2回(1歳~2歳は定期接種2回)
水痘は子どもの病気と思われがちですが、大人でもかかります。大人が水痘にかかると、とても重症になり、水痘肺炎などの重い合併症が多くなります。
2014年10月からは1歳の子どもは定期接種でワクチンを2回受けるようになりましたが、それ以前は任意接種で接種率が高くありません。水痘にかかったことのない人は、2回のワクチン接種で確実に予防しましょう。
水痘ワクチンが定期接種になる前は、多くの人が水痘にかかっていました。定期接種後は、乳幼児での流行が減り、小学生以上で流行するようになっています。今後も、未接種者では重症化して入院すると考えられますので、ワクチン接種による予防が必要です。
妊婦が水痘にかかると、本人だけでなくおなかの赤ちゃんにも大きな影響があります。水痘肺炎など妊婦自身が重症になるだけではありません。流産のリスクが高まり、おなかの赤ちゃんが四肢の低形成などの先天性水痘症候群になることもあります。妊娠後期の水痘肺炎は重症化して、死亡リスクも高まります。また妊娠中の水痘感染は誕生直後の赤ちゃんが水痘にかかったり、生後6か月ごろに帯状疱疹を発症したりします。
妊娠中のワクチン接種はできませんので、妊娠前にパートナーや家族と一緒にワクチンの2回接種を受けましょう。すでに妊娠している場合には、周囲の人がワクチン接種をするようにしてください。
妊婦や妊娠出産年齢の女性と接する職場では、妊婦への感染予防としてワクチン接種を率先して推進してください。公共交通機関を利用して通勤や通学、移動をしている人も同様です。
水痘の感染力は強く、免疫のない人が水痘にかかっている人と接触すれば感染リスクが高まります。水痘患者との接触後72時間以内に水痘ワクチンを接種することにより、発症の防止、症状の軽症化が期待できます。
すべての水疱のかさぶたができるまでは感染力がありますので、学校・職場を休み、周囲への感染を防ぎましょう。
しかし、本当に大切なことは、水痘ウイルスに感染してから慌てて対応することではなく、前もってのワクチン接種であることは言うまでもありません。