オトナのVPD一覧

オトナと子どもでは、同じVPDでも症状や接種スケジュールが異なります。オトナのVPDとワクチンについて解説します。

麻しん(はしか)

どんな病気? オトナがかかるとどうなる?

麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによっておこる、命にかかわるVPDです。空気感染し、広い体育館内のような場所でも、その中に麻しん患者がいればうつってしまうほど感染力が強いといわれています。ワクチン未接種でかかったことがない人がウイルスに感染するとほぼ確実に発症します。合併症を起こしやすく気管支炎、肺炎、脳炎などが約30%の人におこり、肺炎や脳炎で亡くなる人もいます。江戸時代、「はしかは命定めの病」と言われましたが、現代でも根本的な治療法はなく「命定め」であることは変わりません。子どもたちがワクチン2回を定期接種で受けるようになってからは、ワクチンを受けていない大人が流行の中心となっています。

MRワクチン 2回(1歳と小学校入学前年は定期接種)

大人でかかったことがない人は、ワクチンで予防

1990年4月2日以降に生まれた年代は、ワクチンを定期接種で2回受けています。そのため、麻しんにかかる危険性が高いのはワクチンの接種回数が1回であった30代以上や2回の接種の機会があったのに1回しか受けていない人です。大人が感染すると、子どもに比べて重症化することが知られています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に海外からの旅行者はますます増え、麻しんウイルスが持ち込まれるリスクも高まります。これまでにかかったことがない人や麻しんを含むワクチンを2回接種していない人は、できるだけ早く2回接種しておきましょう。

子育て世代は、家族で予防。妊娠する前にワクチン接種

妊娠中の麻しん感染は、妊婦とおなかの子どもにとって深刻な事態となります。流産や早産の危険性が増すだけでなく、妊婦本人も肺炎などで重症化して入院が必要となり、死亡する危険もあります。

生ワクチンのため妊娠中は接種できませんので、妊娠前にパートナーや家族と一緒にMRワクチンを2回接種しましょう。すでに妊娠している場合には、周囲の人にワクチン接種について理解して、ぜひ接種してもらうようにしましょう。

妊婦と接する職場では、企業がワクチン接種に取り組む

妊婦や妊娠出産年齢の女性と日常的に接する事業所では、妊婦への感染予防としてワクチン接種を行っているところもあります。公共交通機関を利用して通勤や通学、移動をしている人も、知らないうちに妊婦にうつしてしまう可能性があります。妊婦やおなかの赤ちゃんをまもるためにも、MRワクチンを接種してください。

麻しん患者と接触した場合の予防策

麻しんの感染力はきわめて強く、免疫のない人や不十分な人が麻しんにかかっている人と接触すればほぼ確実に感染します。麻しん患者との接触から72時間以内のワクチン接種で発症を予防できる可能性があります。医療機関に麻しん患者と接触したことを伝え、緊急ワクチン接種も含め、その指示に従ってください。
麻しんが疑われるときに医療機関を受診する際は、周囲の人への感染を防ぐためにも前もって電話で受診してもよいかどうか確認するとともに電車・バスなど公共交通機関は利用しないでください。
麻しんと診断されたら、たとえ軽症であっても、必ず指示された期間(通常は1週間以上)は外出してはいけません。
しかし、本当に大切なことは、麻しんウイルスに感染してから慌てて対応することではなく、前もってのワクチン接種であることは言うまでもありません。