オトナと子どもでは、同じVPDでも症状や接種スケジュールが異なります。オトナのVPDとワクチンについて解説します。
風しんは、風しんウイルスによっておこる、感染力が強いVPDです。日本ではワクチンの接種が不十分な働き盛りの年代(特に男性)で流行しています。たとえ症状が軽くても周りの人への感染力があれば、結果として感染を広げてしまうことがあります。
妊娠初期に感染すると、おなかの赤ちゃんの眼や耳や心臓などに先天性の障害がおこります(先天性風しん症候群)。1歳前までに亡くなることも少なくありません。そのため、社会全体での予防が重要です。
2022年3月31日までの期間限定で、風しんの抗体保有率の低い世代の男性に風しん感染拡大防止のための追加対策を実施します。風しんの抗体価が低い人には原則無料でMRワクチンを接種できます。お住まいの自治体から届くクーポン券を使って、風しんの抗体検査と予防接種を受けてください。
MRワクチン 1回
風しん第5期定期予防接種の対象:昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性
妊娠初期に風しんウイルスに感染すると、先天性風しん症候群のリスクが高まります。生ワクチンのため妊娠中は接種できませんので、妊娠前にパートナーや家族と一緒にMRワクチンを2回接種しましょう。すでに妊娠している場合には、周囲の人にワクチン接種について理解して、ぜひ接種してもらうようにしましょう。
妊婦や妊娠出産年齢の女性と日常的に接する事業所では、妊婦への感染予防としてワクチン接種を行っているところもあります。公共交通機関を利用して通勤や通学、移動をしている人も、知らないうちに妊婦にうつしてしまう可能性があります。妊婦やおなかの赤ちゃんを守るためにも、MRワクチンを接種してください。
妊娠中の女性が風しんにかからないようにするためには、家族がワクチンを接種するだけでは不十分。社会全体で風しんを予防することが重要です。日本では、中学生の女子にだけ風しんワクチンを接種していた時期があり、男女ともに接種しはじめたのは1994年からですが、当時の中学生の接種率はとても低く、受けていない人のほうが多い地域もありました。
ワクチン未接種の人が多い30代~50代の男性はワクチンを2回接種しましょう。
東南アジアでは風しんが流行しており、海外旅行者によって国内に持ち込まれるケースが増えています。日本企業の海外進出先としてもアジアが多くなっています。海外との往来が増加すると、風しんウイルスが持ち込まれるリスクも高まります。風しんの流行をストップするために、ワクチン接種が不十分な人はできるだけ早く接種しましょう。