妊娠前のワクチン接種で感染予防が必要なVPD
大人がかかると子どもよりも重症化するVPDに、妊婦がかかるとさらに重症化します。妊娠中の麻しん(はしか)の感染は、たいへん重大です。妊婦自身の死亡や流産・早産のリスクが高まります。妊娠初期の風しんは、おなかの赤ちゃんに先天性風しん症候群(生まれつき心臓や耳、眼に障害がある)のリスクを高めます。
MR(麻しん風しん)ワクチンは妊娠中には受けられませんので、妊娠前にパートナーと一緒に接種しておきましょう。妊娠出産の年代の女性がいる家族や職場などでは、性別、未既婚に関わらず、子どもも大人もワクチン接種による予防を心がけましょう。
| ポイント |
予防・ワクチン |
| 麻しん(はしか) |
- 空気感染し感染力がたいへん強く、ワクチン未接種者が感染するとほぼ発症する。
- 大人は重症化して入院治療が必要。
- 妊娠中の感染は、早産・流産・死産のリスクとなる。
- かかったことのない人は、妊娠する前に男女ともにワクチンを2回接種。
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MRワクチン又は麻しんワクチン
【任意接種】2回
※自治体により接種費用助成あり ※1990年度生まれから2回の定期接種の機会あり
【定期接種】2回:1歳、小学校就学前
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| 風しん |
- 大人は軽症で済む場合もあるが、発疹や発熱がなくても人にうつす可能性がある。
- 妊娠初期の感染は、先天性風しん症候群のリスクが高い。
※先天性風しん症候群(CRS):妊娠初期の女性の風しん感染により、おなかの赤ちゃんに難聴、白内障、心臓病などの先天性の障害をひきおこす。
- かかったことのない人は、妊娠する前に男女ともにワクチンを2回接種。
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MRワクチンまたは風しんワクチン1回
【任意接種】1回
【定期接種】2回:1歳、小学校就学前
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| 水痘(みずぼうそう) |
- 空気感染し感染力がたいへん強く、ワクチン未接種者が感染するとほぼ発症する。
- 成人の初感染は、重症化しやすく入院リスクが高い。
- 症状は、高熱、倦怠感、重篤感が強く、多くの水疱を生じる。合併症として水痘肺炎、水痘の重症度に関係なく水痘脳炎の報告がある。
- 妊娠初期から中期(20週未満)の感染は、先天性水痘症候群のリスクが高い。後期の感染では水痘肺炎の重症化がある。
- かかったことのない人は、妊娠する前にワクチンを2回接種。
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水痘ワクチン
【任意接種】2回
【定期接種】2回:1歳~2歳
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| おたふくかぜ |
- 子どもに比べて重症化しやすく、合併症リスクが高くなる。
- 後遺症として一生治らない重度の難聴がある。
- 妊娠初期の感染は、流産のリスクが高まる。
- かかったことのない人は、ワクチンを2回接種。
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おたふくかぜワクチン
【任意接種】2回
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妊娠中のワクチン接種で赤ちゃんがかかりにくくなるVPD
妊婦がワクチンを接種すると、移行抗体で新生児のインフルエンザや低月齢の赤ちゃんの百日せきを予防する効果があります。妊婦は積極的に、ワクチンを接種しましょう。
| ポイント |
予防・ワクチン |
| RSウイルス感染症 |
- 発熱、せき、鼻水などの呼吸器感染症で、乳幼児が最もかかりやすく、2歳までにほぼ全員がかかると言われている。
- 生後6か月未満、特に生後1~2か月に感染すると気管支炎や肺炎となり、入院することが多い。
- 乳児がかかると命に関わるため、周りの者がうつさないようにワクチンを接種。
- 妊娠中にワクチンを接種して、誕生後の赤ちゃんを守る。
- RSウイルスワクチンは、2026年度から妊娠中の女性が定期接種で受けられる見込み。
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RSウイルスワクチン
【任意接種】1回:妊娠24~36週の女性
妊娠28~36週の接種が望ましい
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| 百日せき |
- 百日せきに対する免疫力が低下して、小学生~大人の百日せきが増加。
- 2024年以降顕著な増加傾向が続き、2025年の患者報告数は過去最大となっている。
- 乳児がかかると命に関わるため、周りの者がうつさないようにワクチンを接種。
- 百日せきを予防する三種混合ワクチン(DTaP)は、全年齢で接種でき、妊婦も接種することができる。
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三種混合ワクチン
【任意接種】1回
※日本では成人用三種混合ワクチンTdapは承認されてない
五種混合ワクチン
【定期接種】4回:0歳、1歳
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| インフルエンザ |
- 毎年、冬に流行し、職場では出勤停止などの措置が取られることもある。
- 肺炎など重症化を予防するにはワクチン接種が有効。
- 妊婦が感染すると重症化することがある。
- 妊婦がワクチンを受けると妊婦本人だけでなく出生後の赤ちゃんにも予防効果がある。
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インフルエンザワクチン
毎年秋に接種
【任意接種】1回
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| 新型コロナウイルス感染症 |
- 2019年末頃から世界中で流行している。現在は比較的落ち着いているが、地域によっては依然として流行が見られる。¹⁾
- ウイルスの株によって症状や重症度が変わる。
- 年齢や性別、基礎疾患の有無、コロナ発症時の重症度に関わらず、新型コロナウイルス感染症の回復後に、せきや倦怠感、精神症状などの後遺症がみられる。
- 妊婦が感染すると重症化することがある。
- 妊婦がワクチンを受けると妊婦本人だけでなく出生後の赤ちゃんにも予防効果がある。
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新型コロナワクチン
【任意接種】1回
新型コロナワクチンの未接種者は2回 ※他のワクチンと同時接種可
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夫婦、家族間で感染しやすいVPD
パートナーがB型肝炎キャリアの場合には、直ちにワクチンを接種します。同居の家族にいる場合には、子どもから高齢者まで家族全員がワクチンを接種します。(血液検査の要否については医師とご相談ください)
| ポイント |
予防・ワクチン |
| B型肝炎(急性肝炎、慢性肝炎)、肝臓がん、肝硬変 |
- B型肝炎ウイルスに感染し急性肝炎をおこす。一部は劇症肝炎で重症化する。
- 欧米型のB型肝炎ウイルスは、成人の感染でも慢性化するリスクが高い。
- 家族内や性交渉などでB型肝炎ウイルスに感染し、一部がキャリア化する。
- 家族やパートナーがB型肝炎キャリアの場合は直ちにワクチンを接種。
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B型肝炎ワクチン
【任意接種】3回
【定期接種】3回:0歳
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予防接種の免疫力が弱くなっているVPD
ワクチン接種で免疫を強化しておきます。あわせてワクチンの接種回数を確認しておきましょう。
| ポイント |
予防・ワクチン |
| 日本脳炎 |
- 日本脳炎ウイルス感染のブタから蚊を媒介して感染。アジアでは広く流行がある。
- ワクチン未接種者はワクチン接種(北海道在住も含む)。
- 日本脳炎の流行地への渡航の際には追加接種が必要。
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日本脳炎ワクチン
【任意接種】1回
日本脳炎ワクチン未接種者は3回
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| 破傷風 |
- 二種混合ワクチンを受けて10年たつと追加接種が必要。
- 災害地などボランティアに参加する場合は、あらかじめ接種が必要。
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二種混合、三種混合または破傷風ワクチン
10年ごとに追加接種
【任意接種】1回
破傷風ワクチン未接種者は3回
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破傷風・ジフテリア・ポリオワクチンについて:これまでに感染したことがなく、ワクチン接種の確認ができない人はワクチン接種で免疫をつけVPDを予防するためにワクチン接種をおすすめします。
(2025年12月更新)